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ベルリンは雨天で相当な寒さだった。
寒い上にフランクフルトからの夜行列車は、
直通でなく乗り換えがあったために十分に休めず、
少々疲労が溜まっていた。
地図は持っていたが、全く内容が違う。
というのも、先のワールドカップに合わせ、
新しい中央駅に代わってしまっていた為に
2006年のガイドブックじゃ対応しきれていなかった。
取りあえずバスでポツダム広場まで移動して、

そこから歩くこと10分程。
ユースホステルにチェックインをした。

当然予約などしていない。
ホステリングインターナショナルの会員証を提示すると、
一泊15€と格安で、
三日分とデポジットの分55€をカードで支払った。
大きめなホステルでドームが１と２に別れており、
フロントからドーム２の鍵を渡された。
ベッドナンバーは９番だった。
階段を上がって部屋に入るとスパイシーなクミンの香りがした。

臭い。

ワキガの香りだ。

荷物だけ降ろしエントランスに戻ると、
ちょうどフリーの朝食を提供していた。
それもビュッフェ形式。
本当なら食べられないが着いた時間が早く、
早めのチェックインが出来たためスタッフにも許可を取り
便乗して朝食にありつけた。
結構内容が充実しており、
ちゃっかりサンドウィッチまで作り紙ナプキンでくるみ
お昼ごはんの確保もできた。
流石ユースホステル発祥の地と言ったところで、
建物も食事も今までで一番充実しており、コスパが本当に良かった。

食後、部屋に戻る途中に設置されてある椅子に腰を下ろした。
机に向かって何やら読み物をしている眼鏡をかけた男がいた。
日本人だった。
彼は群馬県出身の天田さんという人で、
ワーキングホリデーでドイツに来たとの事。
ドイツ語も英語も全く喋れないらしく、
取りあえず、ココで連泊して身の振り方を考えているらしい。
靴も濡れていたし休憩もしたかったので、
一緒に向かい合って腰を下ろした。
彼は最新版のガイドブックを持っていたので、
拝借して、ページをゆっくりとめくった。
森鴎外記念館が歩いて行ける場所にある
ということが取りあえず分かった。
暖かくて居心地が良いのもあって、
随分とゆっくりしてから部屋を出ることになった。
記念館に行ってみると、閉館時間が14時までとの事。

あと20分程しか無かったので、
係の人から明日来る事を勧められた。
それもそうだなと思い従うことにして、来た道を戻っていった。
カイザーというスーパーがあったので、
食材を買うため立ち寄り、宿に戻った。

部屋に戻ると同室に新たな日本人がおり、
平山さんという。
日本の美大出身で今度ベルリンの
大学に留学手続きする為に来たとの事。
おもしろい。

因みに後で気がついたが朝臭かったワキガの臭いが消えていた。

温かいシャワーを浴び洗濯物を手洗いで済まし、
洗い終わった物を靴とともにオンドルに寄せ、
食事をしながら音楽を聴いたり日記を付けたりした。
途中部屋にはオーストラリア人の女性、
ドイツ人のじいさんが入って来てそれぞれと喋った。
床について寝てから寒さを感じて目を覚ますと、
昼間のワキガの臭いがした。

原因は、最後に戻って来たと思われるドイツ人の男の所為であった。
ついでに、寒くなったのも部屋の窓を全開にした
彼の所為だと分かり少々苛ついた。

その上じいさんを含むドイツ人たちが、
夜中いつまでも喋って喧しく、
注意しようとした矢先に、
オーストラリア人の女性が注意してくれた。
それでもしばらく五月蝿かった。