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航空券込ッ!予算25万円1ヶ月ヨーロッパ一人旅#16 柔和なギャルソンと穴の空いた手袋
朝8時に目を醒ました。
朝食が食べ放題というのは本当に助かる。
果物もあるしジュース、コーヒ、紅茶も飲み放題。
ヨーグルトにシリアルまである豪華さ。
紙ナプキンを多めに拝借してサンドウィッチを作り、
バナナと一緒にお持ち帰り。
これで一食浮いた。
ユースホステルベルリンインターナショナルは最高だ。
昨日行きそびれた森鴎外記念館に改めて行った。
ここはかつて森鴎外がベルリン滞在中(1884年から4年間)
に下宿先としてして利用していた実際のアルトバウ(ドイツ語で古い建築)だ。
見学していると日本人のおじさんが途中から入って来た。
どうも鍼灸の先生で話しているうちに盛り上がった。
次はペルガモン博物館へ行くつもりだと言うと。
おじさんは「行きましょう。」
そういうことになった。
おじさんはストラスブールで開催していた、
東洋医学フォーラムに参加する為に来たのだが、
どうしても森鴎外記念館に来てみたく、
思い切ってパリから飛行機で来たと言う。
素晴らしいフットワークだ。
ムゼウムスインゼル(博物館島:博物館・美術館の密集したエリア)
に向かうとベルリン大聖堂が現れた。
ぽつりぽつりと話しをしながら観たペルガモン博物館。
博物館の中身は大した感動も無く過ぎ去って行った。
天気も悪く凍えそうなくらいに寒い。
歩いて”6月17日通り”を抜けようとするも、
イベント等の準備で迂回せざるを得なく随分時間がかかり、
おじさんの宿泊しているホテルまで行った。
部屋に入るとおじさんは、
左手の人差し指に穴こそ開いていたが、
十分寒さをしのげるであろう薄く黒い手袋をくれた。
コレはぬくとい。
持ち歩いていたサンドウィッチももったいないので、
変な時間ではあったがここで頂いた。
そしておじさんの明日の空港行きのバス乗り場を確認して、
カイザー・ヴェルヘルム記念教会を覗いた。
新館は外観からして現地でもリップスティックと呼ばれているらしい。
外だけでなく中も一見しただけでは教会とは分からない作りになっており、
ややもするとダンスフロアかと思ってしまう。
これはこれでかっこいい。
夕食にはおじさんの甥っ子が旅行会社に勤めており、
その友人のドイツ駐在員おすすめレストラン、
Heisingへ行くことになった。
到着すると店には明かりが点いておらず、
となりのパン屋さんに訊くも判然とせず、
強気に向かい側のレストランに訊くと、
すごい嫌な顔であそこはすごい高いんだとか、
妬みとしか思えないような事を言われた。
仕方なしに店に電話を掛けてみると、
電話越しには感じの良さそうな女性が出て来て、
英語で応対してくれた。
7時オープンとの事でその時間に予約を入れた。
まだ一時間強時間があったので、
近くの日本食レストラン”大都会”へ行き、
寒いベルリンで枝豆にお造り、大根サラダに熱燗を頂いた。
これを日本から送るのに様々な人が関わっているんだなぁ、
と感じながら頂く日本食は素晴らしく美味しく、
熱燗は鼻孔を刺激し身体の隅々まで浸透して温めていった。
ただそこで働いている日本人の接客態度がよろしくなかった。
もう少し配膳にしても丁寧にやって欲しかった。
日本のサービスの教育が素晴らしいのか、
故郷を離れて少し疲れていたのかは不明だった。
しかし幸せな心持ちになれた事は言うまでもない。
そのあとお待ちかねのレストランは、
色気さえ感じられる年老いたギャルソンに迎え入れられた。
店内には暖炉があり、
ちょうどそのギャルソンが火を灯してくれた。
内装も感じが良くまさか貧乏旅行者である自分が、
こんな所に入るなんて夢にも思わなかった。
注文はシンプルにコースしかなく、
それにデザートを付けるかどうかだった。
赤ワインも注文し、おじさんとたらふく食べて飲んだ。
中でもフォアグラと兎の肉は絶品で、
舌鼓をひっきりなしに打つ事になった。
スープ等は分ける為に皿が欲しいというと同じ物をもう一つくれた。
これは高くつくと思いきやサービスしてくれたらしく。
食後のデザートはとてもじゃないが、
入りそうになかったのでコーヒーを頂いた。
それもチョコレートまで添えてあった。
会計をすると二人で138€だったが、
カードが使えないため2人共現金60€ずつしか持っていなくて、
困っていたら120€におまけしてもらった。
本当に良い思いをした。
おじさんはホテルに戻ると換金して60€を返してくれた。
本当に良い思いをしてしまった。
旅で受ける親切はいつも以上に特別に記憶に残る。
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TAKA
酒好きの旅人
唎酒師。 カメラを持った酔っぱらい。 3歳の頃の夢は旅人。 好き嫌いなしの健康優良児。 無類の猫好きでもある。